花粉症

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花粉症は、様々な植物の花粉が原因となり引き起こされるアレルギー疾患です。3~5月頃に飛散するスギ花粉やヒノキ花粉が原因となることが多いのですが、初夏に飛散するイネ科の植物、秋に花粉が飛び散るヨモギやブタクサも原因になることがあります。いずれの場合においても、アレルゲンとなる花粉が飛散する時期にのみ症状が出現します。
一般的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血、目やになどです。このほかにも、のどのかゆみ、肌荒れ、湿疹などが現れることもあります。こうした症状の多くは、放置しても生命にかかわるわけではありませんし、症状が現れるのは花粉が飛散する時のみです。しかし、鼻づまり等の症状を放置していると、仕事や勉強、QOL(生活の質)にも悪影響が出ますので、症状を抑える治療をおすすめしています。

治療

くしゃみや鼻水などの症状は抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬などの内服薬で抑えることが可能です。他にも鼻の症状が強ければステロイドなどの点鼻薬を、目のかゆみや結膜炎等の目の症状には点眼薬が使用できます。また、当院ではスギ花粉アレルギーの患者さまに対して舌下免疫療法も行っています。

花粉症の薬物治療におけるポイント

お薬を選ぶ際にポイントとなるのは、眠気と服用時期です。特に車の運転をされる場合は、眠気を伴うお薬を処方出来ない場合もありますので、必ず診察時にご相談ください。
また、服用開始の時期も大切なポイントです。花粉が実際に飛散し始める約2週間前から服用を開始することで、より症状を抑えることができます。

舌下免疫療法

舌下免疫療法は、くしゃみや鼻づまりといった症状を抑える一般的な治療とは異なり、スギ花粉症そのものを治すことを目的とする治療法です。アレルギーを引き起こす原因物質を継続的に投与し、その物質に身体を慣れさせることでアレルギー症状を緩和していきます。スギ花粉症だけでなくダニアレルギーなどでもこの治療法が行われることがあります。

治療の流れ・期間

専用のお薬を1日1錠ずつ舌下投与します。お薬を1~2分ほど舌の下にとどめた後、飲み込みます。効果がでるまでに3年以上かかることがありますが、治療効果は7~8年間継続が期待できます。

治療の流れ
  1. アレルギー検査を行い、アレルゲンがスギ花粉やダニであることを確認します。
    ※他医療機関で行ったアレルギー検査の結果をお持ちの場合はご持参ください。
  2. 2回目以降の服薬はご自宅で行います。
  3. 定期的に通院していただき、徐々に服薬量を増やしていきます。

注意点・リスクなど

スギ花粉が飛ぶ可能性がある時期は、舌下免疫治療をはじめることができません。 ただし事前検査・治療予約は、いつでも行っておりますので、ご希望の方はご相談ください。ダニのアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法は基本的に一年中可能ですが、スギ花粉症をあわせもっている場合は飛散時期が終了してからの開始をお勧めします。
よくある副作用として、口腔内のかゆみ、腫れがあります。まれにアナフィラキシーなど重篤な副作用が起きることもあるので、初回の投与は院内で慎重に行います。

アレルギー性疾患

私たちの体には免疫機能が備わっているので、体内に侵入してきたウイルスや細菌などの異物を撃退することができます。しかし、体に害を与えないはずの植物の花粉や食物などにも免疫機能が過剰に反応し、それが何らかの症状として出現することがあります。このような状態を「アレルギー反応」といいます。当院では、このアレルギー反応に起因した病気の診療を行っています。

主なアレルギー性疾患

気管支喘息

気管支喘息は、何らかのきっかけで空気の通り道である気道(気管支)が閉そくし呼吸がしにくくなることで「ゼイゼイ」、「ヒューヒュー」といった特徴的な呼吸音(喘鳴)が現れます。この喘息発作が何度も繰り返されます。主な原因として、アレルギーの他に風邪などのウイルス・細菌感染や、喫煙、ストレスなどがあります。

主な症状
  • 息をはくときに「ゼイゼイ」、「ヒューヒュー」と音がする(喘鳴)
  • 突然咳込む、ほこりやにおい等の刺激でひどく咳込む
  • 就寝中や明け方に息苦しさを感じたり、咳が出たりする
  • 呼吸困難
  • 胸の痛み
  • 喉がイガイガする
治療

喘息発作に対して気管支拡張薬を使用します。薬によって気道が広がり、呼吸が楽になります。そのほか症状に合わせて、咳止め、去痰薬、抗アレルギー薬、内服ステロイド薬などを使うこともあります。

蕁麻疹

蕁麻疹とは、皮膚の一部に突然赤みや腫れが生じ、強いかゆみを伴う病気です。通常これらの症状は数時間から長くても24時間以内に解消されます。また、毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症して1ヶ月以上経過したものを慢性蕁麻疹と呼びます。

症状

症状は様々で、数ミリくらいの小さなものから、手のひらくらいの大きな赤みや腫れが生じることもあります。皮膚が柔らかい太もも、お腹、お尻、膝の後ろ、首、頬等に生じやすい傾向があります。

蕁麻疹の主な原因
食物
  • 魚介類(サバ/マグロ/サンマ/エビ/カニなど)
  • 肉類(豚肉/牛肉/鶏肉など)
  • 卵・乳製品(鶏卵/牛乳/チーズなど)
  • 穀類・野菜(大豆/小麦/ソバなど)
食品添加物
人工色素・防腐剤(パラベンなど)
薬剤
抗生物質・解熱鎮痛薬・咳止めなど
植物・昆虫
イラクサ・ゴム・蜂など
感染症
寄生虫・真菌(カビ類)・細菌・ウイルス
物理的刺激
機械的擦過や圧迫・寒冷・日光・温熱・振動など
運動・発汗
内臓・全身性疾患(血液疾患/膠原病/血清病など)
疲労・ストレス(身体的なもの、精神的なもの)
治療

原因(アレルゲン)が特定できている場合は、アレルゲンを避ける環境づくりをしていきます。原因が特定できない場合は抗ヒスタミン薬を使用して症状を緩和します。また、アナフィラキシー等の重症例ではステロイド薬を投与します。

蕁麻疹の治療では日々の生活における皮膚への刺激を少なくすることも大切です。部屋の温度や湿度を一定に保つ、合成繊維などの素材を避け天然繊維でできた衣類を着用する、ストレスを避けるなどが症状を和らげることがあります。

アナフィラキシー

蕁麻疹や粘膜の炎症はアナフィラキシーの症状としても知られています。アナフィラキシーは極めて短い期間のうちに全身にあらわれるアレルギー症状で、このアナフィラキシーによって、血圧の低下や意識障害などが引き起こされ、生命を脅かす危険な状態に陥ることをアナフィラキシーショックといいます。
蕁麻疹と同時に呼吸苦や、咳、腹痛、吐き気、血圧低下などが認められる場合は注意が必要です。緊急を要しますので、すぐに医療機関を受診してください。

エピペン®処方

当院ではエピペン®の処方を行っています。

エピペン®とは

エピペン®は、アナフィラキシーによる症状の進行を一時的に緩和し、アナフィラキシーショックから生命が危険な状態に陥るリスクを減らすための補助治療剤です。
過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがある方や、今後起こす可能性がある方は、エピペン®の携帯が推奨されています。
なお、エピペン®はアナフィラキシーの根本的な治療薬ではありませんので、使用後は速やかに医療機関を受診してください。