大腸カメラ検査とは、肛門からスコープを挿入し、盲腸と小腸のつなぎ目から肛門までの大腸全体を観察する検査です。腸内を直接観察することで、炎症の範囲や程度を評価したり、出血の原因を調べたり、大腸ポリープ(腺腫)や大腸がんなどの腫瘍性病変を見つけることができます。
当院の大腸カメラ検査の
特徴
鎮痛・鎮静剤により苦痛を軽減します
以前に受けた大腸カメラ検査が苦しくて辛かった方や検査に対する不安が強い方には、鎮痛・鎮静剤を使用して、ボーっとした状態からウトウトと眠ったような状態で検査を受けていただくことができます。
- 過鎮静により呼吸抑制や血圧低下などが生じることがあるため、ご年齢や基礎疾患などを考慮して薬の量を調整いたします。
- 鎮痛・鎮静剤を希望される方は、検査当日はご自身で自動車、二輪車、自転車などの運転はしないでください。家族に送迎してもらうか、公共交通機関をご利用ください。
日帰り大腸ポリープ切除を施行しています
- 大腸ポリープは大腸がんへ進行していく可能性がある前がん病変です。大腸ポリープを発見し、切除することで、将来的な大腸がんの予防に大きく寄与します。
- 当院では大腸カメラ検査の際に発見したポリープは、拡大観察などで精査したうえで、その場で切除する「日帰り大腸ポリープ切除」を行っています。ポリープを切除した後に入院する必要はありません。
- 10mm以下のポリープに対しては、主に「コールド・スネア・ポリペクトミー」という方法で切除します。スネアという金属製の輪を使って、通電せずにポリープを周囲の粘膜ごと絞り切ります。この方法では、切除後の出血のリスクが非常に低いことがわかっています。
- 10mm以上のポリープや早期がんを疑うポリープに関しては、スネアに電気を通して焼灼しながら切除します。電気を流す理由は、より深い層までしっかり切除するためと、ポリープ切除の際に太い血管を傷つけて術中に大出血するリスクを予防するためです。この方法では、稀に、検査終了後しばらくしてから出血をしてしまうことが報告されています。当院では電気を流して切除した際は、クリップという処置具を使って傷口をしっかり閉じるようにして帰宅後の出血のリスク軽減に努めています。
- 血液をサラサラにする薬(抗血小板薬や抗凝固薬)を数種類併せて服用されている方で休薬することが難しい方は、ポリープ切除後の出血のリスクが高いため、入院での治療をお勧めしています。また、一般的に20㎜以上のポリープや早期がんは、「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」という治療法が推奨されるため入院治療が必要となります。当院の関連施設もしくはご希望の施設へご紹介いたします。
全例で炭酸ガス(CO2)送気装置を使用しています
当院では、全ての大腸カメラ検査に炭素ガス(CO2)送気装置を使用しています。炭酸ガス(CO2)は、空気に比べて大腸からの吸収が非常に早いため検査後のお腹の張りや不快感を大幅に軽減することができます。
前処置のためのトイレ付完全個室を用意しています
当院では、ご自宅での大腸カメラ検査の前処置に不安のある方や、下剤を内服した後にご自宅から当院までの移動に不安を感じている方に安心して検査を受けていただくために、前処置用のトイレ付完全個室が3室あります。院内での下剤の服用を希望される方はお気軽にお申し出ください。
胃カメラ・大腸カメラの同日検査もできます
「ピロリ菌除菌後」かつ「大腸ポリープ切除後」といったように胃と大腸の定期検診が必要な方は多く見受けられます。当院では、胃カメラと大腸カメラを同日に受けることも可能です。忙しくて別々に検査を受けに来ることに負担を感じている方、検査前の食事や内服薬の制限を負担に感じている方、是非ご検討ください。
基本的には、胃カメラを受けた後に大腸カメラを行うという流れになります。
土曜日も大腸カメラ検査を受けることができます
当院では、土曜日も大腸カメラ検査を受けることができます。平日に忙しくて受けられない方は土曜日の枠をご利用ください。
消化器内視鏡専門医が全ての検査を担当します
日本消化器内視鏡学会の専門医である院長が、全ての検査を担当します。
医療機関からみると毎日何人にも行っている検査ですが、患者さま一人一人にとっては「人生ではじめて」「1年~数年に1回」の特別な検査です。勇気を出して受けに来てくださっていることも承知しています。
皆さまに次回も受けてもよいと思ってもらえるよう「苦痛の少ない検査」、信頼して受けていただけるよう「見落としが少ない丁寧な検査」を心がけています。
大腸カメラ検査を検討するべき症状
以下のような症状の方はご相談ください。
- 便に血が混じっている
- 排便時に出血した
- 検診で便潜血反応が陽性だった
- 便秘、便がスッキリ出ない、便が細い、軟便、下痢といった便通異常がある
- 貧血や鉄欠乏を指摘された
- 急に体重が減った
- おなかの調子が悪い
- 大腸ポリープや大腸がんの既往のある方
- 血縁者に大腸がんが多い方
- 40歳以上の方で便潜血も大腸カメラも受けたことがない方
大腸カメラ検査の流れ
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事前診察
- 大腸カメラ検査を予約する場合、必ず事前に診察をします。症状だけでなく、過去にされた病気、服用中の薬などを確認します。検査が必要と判断した際は、偶発症やポリープ切除をした際の注意事項などを説明し、同意書にサインしていただきます。
- 検査日を決定した後、スタッフより前日の食事や下剤の服用の仕方を説明します。
- 電話やWebで検査を予約する場合は、遅くとも検査2日前までに事前診察のために外来を受診してください。2日前までに事前診察を受けなかった方はキャンセル扱いとさせていただきます。
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検査の前日
- 食事は消化の悪い食物繊維の多いものや肉類などを避けて、薬味や具のない白粥、素うどんなどを摂ってください。特に便秘がちの方は検査3日前から控えるようにしてください。詳しくは外来で説明します。
- 当院では、クリアスルー®という前日用の検査食をご用意しています。ご希望の方はお申し出ください。夕食はなるべく早めでお願いします。遅くとも21時までには済ませてください。前日は水分を多めに摂取するようにしてください。
- 就寝前に前日用の下剤(ピコスルファート®、もしくはプルゼニド®)を内服していただきます。
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検査の当日
- 朝食を摂らずに来院してください。服薬に関しては事前診察で指示されたようにお願いします。
- ご自宅で下剤を内服される方は、朝8時より内服を開始してください。当院から適宜電話にて状況を確認させていただきます。便が透明になったら電話にてご連絡の上、来院してください。
- 院内で下剤を内服する方は8時45分までに来院してください。トイレ付前処置室にご案内します。
- 当院では検査当日の腸管洗浄液を3種類採用しています。それぞれの特徴をご説明します。
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大腸カメラ検査
- ロッカー室に移動し、検査着に着替えていただきます。メガネは装着したままで大丈夫です。貴金属類(指輪、ネックレス、ピアス)は出来る限り外して、貴重品と一緒にロッカーに保管してください。
- 検査前に点滴のラインを確保します。
- 鎮痛・鎮静剤を希望する方は、バイタルを確認しながら側管から注入します。
- 禁忌がなければ、腸の蠕動を抑える鎮痙薬を注入します。
- 検査時間は、ポリープ切除などの処置に影響しますが、処置があっても概ね30分くらいで終了します。
- 処置室にあるベッドないしリクライニングソファに移動します。
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検査後
- 鎮痛・鎮静を使用しなかった方は少し休んでいただいた後に、画像を供覧しながら大腸カメラ検査の結果を説明します。
- 鎮痛・鎮静剤を使用した方は、しっかりと目が覚めるまで30分~1時間程度お休みいただきます。休憩後に結果を説明します。
- 検査のために休薬した薬などがある場合は再開時期などを説明します。
- ポリープ切除など病理検査を提出した方は、後日(1週間後以降)、外来にて結果を説明します。
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検査後の注意点
- ポリープを切除した方は、術後1週間は出血するリスクがあります。飲酒、激しい運動、温泉・サウナなどは体内の血流が活発になることで、術後の出血のリスクを高めてしまいます。1週間はお控えください。
- ポリープ切除後に心配な症状などがあれば、いつでもご連絡ください。診療時間外は検査後にお渡しする携帯番号にご連絡ください。
- 鎮痛・鎮静剤を使用した方は、ご自身で自動車、二輪車、自転車などの運転はしないでください。家族に送迎してもらうか、公共交通機関をご利用ください。