消化器内科とは
消化器内科は胸やけ、胃もたれや胃痛といった上腹部の不調、便秘や下痢、腹痛、下血といった下腹部の不調など、お腹の症状全般を診療します。超音波やレントゲンの検査に加え、必要に応じて内視鏡検査も行います。また食道や胃腸の消化管だけでなく、肝臓や胆嚢、膵臓などの診察も行います。当科で診療する疾患は主に次の3つのグループに分けられます。
上部消化管疾患
上部消化管とは、食道・胃・十二指腸を指し、これらの器官で生じる疾患をまとめて上部消化管疾患と呼びます。胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流することにより、食道に炎症を起こす逆流性食道炎や、胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染による胃炎、胃ポリープや胃がん、アニサキス症などが含まれます。
主な上部消化管疾患
- 逆流性食道炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- ピロリ菌感染性胃炎
- 急性胃腸炎
- 胃ポリープ
- 胃がん
このような症状はご相談ください
- 胸やけ、酸っぱいものが上がってくる、食後に胸やみぞおちのあたりが痛い
- のどの異物感や閉塞感
- 胃カメラで異常なしと言われたが、胃もたれ、満腹感、みぞおちに痛みがある
- 食後にみぞおちや背中が痛み、軽食をとると痛みが和らぐ
- 検診でピロリ菌陽性と診断された
- 胃痛、胃もたれ、食欲低下、嘔気、便の色が黒い
- 胃もたれ、不快感、食欲不振、貧血
- 食後数時間後から十数時間後に、みぞおちが激しく痛む
- のどに違和感や軽い痛みがある、食事が通りにくい、息苦しい、首にしこりがある、声がかすれる
- 飲食するときに違和感やつかえ感がある、体重減少、胸や背中の痛み、長引く咳、声がかすれる
- みぞおちの痛みや不快感、胸やけ、吐き気、消化不良、便が黒い、食欲不振、体重減少
下部消化管疾患
下部消化管(小腸・結腸・直腸)疾患には、大腸がんなどの悪性腫瘍や、大腸がんに進展するおそれのある大腸ポリープなど以外に、腸管粘膜に慢性的な炎症を起きる炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、下血や腹痛の原因となる虚血性腸炎や結腸憩室(結腸憩室炎・憩室出血)などが含まれます。また便秘症も下部消化管疾患の一つです。
主な下部消化管疾患
- 便秘症
- 過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome :IBS)
- 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD):潰瘍性大腸炎、クローン病
- 虚血性腸炎
- 憩室炎・憩室出血
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 虫垂炎
このような症状はご相談ください
- 便秘
- 下痢
- 腹痛
- 下血・血便
- 排便時に紙に血がつく
- 便潜血陽性
- 肛門付近の腫れや痛み
- 残便感
- 便が細くなった
- 貧血
- 体重減少
肝臓・胆のう・膵臓疾患
主に健康診断等で発見された肝機能障害(AST, ALT、γ―GTPなど)の精査や、胆石や総胆管結石の診断や治療、さらに肝臓がん、膵臓がんなどのスクリーニングを行います。肝臓、胆嚢、膵臓の疾患の多くは初期症状に乏しいため、早期発見が難しいという特徴があります。しかもこの領域のがんは進行が早いという特徴もあります。少しでも気になることがあるときはご相談ください。適切な検査を行い、必要な場合には速やかに専門機関を紹介いたします。
肝臓
健康診断や定期検査などでAST(GOT)、ALT(GOT)などの異常値を指摘されることがあります。自覚症状がなくても放置せず、原因を明らかにするために受診することが大切です。
肝機能に異常値をきたす原因はB型、C型肝炎などのウイルス性肝炎、薬やサプリメントによる薬剤性肝炎、アルコール、自己免疫性肝炎、肝腫瘍(肝がん)など様々です。また肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを基盤に発症する非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)による肝炎も近年増加傾向にあります。NAFLDも他の肝臓病と同様にほとんど自覚症状はありません。また現在のところ通常の血液検査ではNAFLDを確実に診断可能な検査項目もありません。肝機能検査で代表的なALT(GPT)値が低くてもNAFLDで、時には肝硬変やそれに近い状態の場合もあり、健康診断で肝機能の数字が高くないからといって、NAFLDではないとは言えません。肥満や肥満傾向がある人、高血圧、脂質異常症(血中コレステロール値や中性脂肪が高い)、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病やそのリスクがある人は、腹部超音波検査で脂肪肝の有無を調べましょう。当院ではシアウェーブエラストグラフィー(せん断波)を搭載したエコー機器を用いて、簡便かつ非侵襲的に肝線維化の評価を行うことが可能です。
主な肝臓疾患
- 脂肪肝
- 肝炎(急性肝炎、慢性肝炎、ウィルス性肝炎、薬剤性肝炎)
- 肝硬変
このような症状はご相談ください
- 全身倦怠感
- 食欲低下
- 嘔気
- 黄疸
- 皮膚のかゆみ
- からだのむくみ
- 腹水
胆嚢
胆嚢(たんのう)は、肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にある筋肉でできた小さな袋状の臓器です。胆汁を蓄える働きがあり、胆道と呼ばれる管で肝臓とつながっています。胆嚢疾患には次のようなものがあります。
主な胆嚢疾患
- 胆石
- 総胆管結石
- 胆嚢炎
- 胆管炎
- 胆嚢腺筋症
このような症状はご相談ください
- 右側のみ肩がこる
- 背中が痛い
- 黄疸
- 皮膚のかゆみ
- 褐色尿
- 便の色が白っぽい
- 心窩部痛
- 脂っぽい食事のあとや、食べ過ぎたときにみぞおち周辺が痛む
膵臓
膵臓は胃の裏側に位置する、長さ約15~20センチ、重さ80~120グラムの消化器臓器の中では比較的小さな臓器です。膵臓は消化液やインスリンなどのホルモンを分泌しています。そのため膵臓の機能が低下すると、消化液の分泌が不足することで消化不良を起こしたり、インスリンの分泌が不足すると糖尿病を発症したりします。
主な膵臓疾患
- 膵炎(急性膵炎、慢性膵炎)
- 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
このような症状はご相談ください
- 腹部の痛み
- 背中の痛み
- 体重減少
- 下痢